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「未来を変えるための33のアイディア」へ寄稿いたしました。

この企画は、「21世紀の進歩と調和とは~若者が世界に問いかける」をテーマに、大学生が中心となって2010年11月に大阪万博跡地で行われたイベント「WorldShift Osaka」が出発点になっている書籍です。

エネルギー問題、格差、メディアのあり方、環境問題・・・などの幅広いテーマに対して、若者たちが選んだ「かっこいい大人」33名が、それぞれの立場から、新しい世界を生きるための新しい価値観を提示しています。

私たちハンドレッド・ゼロの代表 古谷文太も、世界を変える「かっこいい大人」の一人に選んで頂き、コンバージョンEVと将来のエネルギー問題について寄稿いたしました。

以下に全文を掲載いたします。

ガソリン車のエンジンをモーターに


代表 古谷文太
ガソリン車からエンジンやガソリンタンクを取り外し、代わりに電動モーターやバッテリーを積んで100%電気で走るクルマ(コンバージョンEV (Electric Vehicle))に変えるという仕事をしています。

ガソリンエンジン車は、日本で一番小さな規格である660ccの四輪自動車でも年間約1.8t(*1)の二酸化炭素を排出します。容積に換算すると約990m3、日本の小学校の標準的なプール3杯分に相当します。CO2濃度100%のプールです。ちなみに空気中のCO2濃度は0.2%程度です。

もし、このクルマからエンジン(内燃機関)を取り外し、電動モーターで走るようにすると、走行中の二酸化炭素排出量はゼロになります。

残念ながらCO2排出と完全に無縁になるわけではありません。日本ではまだ発電量の6割以上(*2)を火力発電所に頼っていますので。しかし、発電に要する分を計算に入れても、走行に必要な二酸化炭素排出量は約1/3(*3)になります。

つまり、ガソリン車のエンジンをモーターに換えると、年間に1.8t×2/3=約1.2tの二酸化炭素排出をやめることができます。ちなみにCool BizやWarm Bizで室温を1℃調節することで減らされる二酸化炭素は、エアコン1台あたり年間約30kgです。

コンバージョンEV(既存のガソリン車から転換された電気自動車(Electric Vehicle))の優れたところは、その効果の大きさもさることながら、ガソリン車オーナーが個々に直接、地球環境に良い影響を与えられることにあります。

オーナーが決断し行動することで、その内燃機関(エンジン)から大気中に排出されるCO2を直接止めることができます。自分の行動が本当に結果に繋がっているのか、後のプロセスを気にすることはありません。大気に排出していたCO2をその手で確実に減らしたのですから。

それは世界中に無数にある内燃機関のうち、たった一つかもしれませんが、しかし確実な一つです。

ひとつ換えれば、ひとつ良くなる。

二酸化炭素の排出が地球の温暖化を招いているのかどうかは疑問だ、という人々がいます。その通り。私たちにも確実なところは判りません。後世、あるいは笑い話になるのかも知れません。

しかし、判らないからこそ、今と変わらない環境を次代に残すようにできるだけの努力をしておくのが、今を生きる私たちの務めだと考えるのです。後の人たちの笑い草になるのであれば、それは幸せな結末です。

そして、地球温暖化とは別に、私たちが真剣に懸念している問題があります。石化燃料の世界需給のひっ迫です。

当たり前の話かも知れませんが、物質的に豊かな生活は石化燃料を主とするエネルギー消費によって実現されています。一人当たりGDPと一人当たりのエネルギー使用量との間には相関関係があります。OECD諸国の約12億人は、その他の人々に比べて一人当たり約10倍のエネルギーを使っています。

石油の世界消費量は過去40年間で約3倍(*4)に増えました。当初の30年間、それを増やしたのは主に米国と日本をはじめとする先進国でした。2000年代に入ってから新興国、特に中国のエネルギー消費量が急増しています。

一方、石油の確定埋蔵量は、過去20年間に約3割しか増えていません。比較的に多く発見された天然ガスでも約5割です。(絶対量に注目することが重要です。)

中国はすでにCO2排出量で世界2位ですが、一人当たりのエネルギー消費量はまだ日本の半分以下の水準です。(2000年代の初めには1/4以下でしたが。)中国の人口は、OECD諸国の合計を超える13億人です。中国の後にインドの12億人も控えています。(*5)

つまり、今までは地球上で5人に1人だけのものだった物質的に豊かな生活が、急速に2人、3人に広がるに従い、石化燃料の需給はますますひっ迫していくことが予測されます。

このような世界では、エネルギー効率を高めた社会こそ安全で快適な暮らしを実現できると、私たちは考えています。

日本では石油製品の約40%(*6)を自動車が消費しています。これを電気自動車に置き換えた場合の効果を想像して下さい。

ただし、日本には四輪車だけで約7,500万台もの自動車があります。これらは多大なエネルギーを費やしてつくった資産であり、まだまだ使える大切な社会資本です。これらを捨てて電気自動車に乗り換えるのは、オーナーにとっても社会にとっても必ずしも賢明な方法ではありません。

そこで、コンバージョンEVなのです。ボディや装置を活かすことによって無駄な投資を省きます。

新しいものを手に入れるのは、ある意味、簡単なことになりました。注文してお金を払えば、持って来てくれます。カタログ通りの、みんなと同じものを。

よく考えて、必要なところだけを換えてあげる。慈しんで使い続ける。

実は、その方がカッコいい。私たちはそう考えています。

掲載書籍

WorldShift 未来を変えるための33のアイデア
WorldShift Osaka 実行委員会 (著, 編集)

脚注

*1 燃費17Km/L、40km/日x稼働25日/月x12カ月として計算した場合。
*2 資源エネルギー庁「日本のエネルギー2010」より。
*3 電費9.4Km/KWH、40km/日x稼働25日/月x12カ月として約1,280KWH/年。
モーター使用による年間CO2排出量0.56kg/KWH×1,280KWH/年=約720kg
約720kg÷約1,800kg=約1/3
*4 BP Statistical Report of World Energy 2010のデータから1965年と2005年とを比較。
*5 OECD Factbook 2010より。
*6 資源エネルギー庁「エネルギー白書2009」より。
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